「裁量=自由?責任? 経営者が面接で確認すべき視点」
「裁量がある人」とは何か
経営者や採用面接の場でよく使われる言葉に「裁量がある人」があります。
一見わかりやすい表現ですが、実際には候補者と企業でイメージが大きく異なることが少なくありません。
「裁量」と聞くと、予算決裁や人事権など、大きな権限を連想しがちです。
しかし、本質的に考えると裁量の“最小単位”は何かという視点が重要です。

私の考える裁量の単位は「時間のコントロール」
私が考える裁量は、**「自分のスケジュールを自分で調整できること」**です。
誰かの許可がないと予定を動かせない人は、裁量が限られている状態だと言えるでしょう。
つまり、時間をどの程度コントロールできるかが、裁量の有無を分ける第一歩なのです。
この観点で見れば、労働集約的な仕事は本人の意思で抜けにくく、裁量を持ちにくい働き方であることが多いでしょう。
仕事の特性とキャリアステージによる違い
もちろん、業務特性上どうしても外せない仕事も多くあります。
そうした場合、本当の意味で裁量を持つためには、実務から一歩離れ、組織全体を見渡す役割へと移行することが必要になります。
これは言い換えると、経営者が社員に「どういうキャリアを歩んでほしいか」を示す上でも大切なポイントです。
求職者が語る「裁量」の正体
実際の面接では、候補者から「将来的に裁量を持ちたい」という言葉が出ることがあります。
ただし、その意味は人によってさまざまです。
- 「自分のアイデアを自由に実行したい」という自由度のイメージ
- 「責任をもって意思決定したい」というマネジメント志向
- 「時間や働き方を自分で決めたい」というワークスタイル志向
経営者としては、候補者が語る“裁量”がどの意味で使われているのかを面接で確認することが極めて重要です。
経営者が押さえるべき面接での問いかけ
入社後のミスマッチを防ぐために、面接ではこんな質問を投げかけると効果的です。
- 「あなたにとって裁量を持つとは、具体的にどういう状態を指しますか?」
- 「裁量がある仕事とない仕事の違いは、どう捉えていますか?」
- 「将来的にどのような裁量を持ちたいと考えていますか?」
こうしたやり取りを通じて、候補者の期待値と自社の実態をすり合わせることができます。
まとめ
経営者にとって、採用は単なる人員補充ではなく、組織づくりそのものです。
「裁量」という言葉は便利ですが、その解釈がずれていると、入社後に「思っていたのと違う」となり、早期離職につながります。
候補者がどんな裁量を望んでいるのかを確認し、経営者自身が自社で与えられる裁量の範囲を言語化することで、採用の質と定着率は大きく変わります。
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